個人投資家向け太陽光発電所参入【第14稿】
こんにちは。
今日は、個人投資家はどのように太陽光発電投資に参入すればよいか。ということを書こうと思います。
さて、突然ですが、この度私が開発関わった太陽光発電所が売り終わりました。
土地周りと経産省、電力会社申請から関わっていた発電所でしたので、思い入れもあり、無事引き渡し出来て良かったと思っています。
私が関わった発電所は下記サイトにて販売をかけました(もう既にご存知の方もおおいでしょうが)。
①メガ発(太陽光発電所サイト最大手)
こちらは、家を買うならSU〇MOのサイトを見る。という感覚と同じでしょうか(笑
個人投資家として動いていたり、会社組織を離れて独立すると、こういったサイトから流れてくる情報や、セミナーなどは非常に重宝します。
私が太陽光発電所開発事業を始めたのも、色々なセミナーを受けていく中で、「自分でも作れるな、、」と思ったからです(不動産開発は経験があったので)。
②タイナビ(同様に大手サイト)
以上2つのサイトに掲載し、販売を行いました。
(なお、販売自体は別会社の担当者にまかせっきりでしたが、)
個人的意見としては、
①上記2サイトへの会員登録および、メルマガ配信を受ける
②同様に住んでいる地域の近くで行われるセミナーに参加する。
以上の2つで、
・太陽光発電投資の全容(土地周り、経産省周り、電力会社周り)
・相場観(これは非常に大事)
・ファイナンスに関して(大体主流のファイナンスがあります。)
などがわかってくると思います。
サラリーマンの方(年収400万円程度)でも、2,000万円前後の発電所を3か所一気に買ったりするケースはざらにあります。
あまり言うと角が立ちますが、空室リスクがあり、利回りが低いワンルーム投資と比べたら、太陽光発電所投資はとても良いと思っています。
私もサラリーマン時代に知っていれば、買いたかったです。
2-3年分の決算書が出来たら、銀行に交渉して買おうと思っています。
以上となりますが、
まず無料の基本情報を集める。
その次、経験者に聞く。これが投資の順番と思います。
それでは。
小形風力投資の行方【再エネ】第13稿
こんにちは。
忙しい年度末(3月末)が過ぎ去り、あっという間にGWも終わり、6月となってしまいました。
本稿では、小形風力投資について書こうと思います。
以前にも簡単に書いたことがありましたが、小形風力発電機は発電容量が20kW未満のものになります。イメージとしては、高さ20m、ブレード(羽)が半径7mくらいのものを想像していただければと思います。
大型のものに比べれば小さいですが、ビュンビュン回っているのを近くで見るとすごい迫力です。
以前も書いていますが、小形風力発電の経産省が定める固定調達価格(以下FIT)は2017年度までは55円/kWでした。しかし、2018年度の申請分に関しては20円/kWに下落することが確定しました。
このことは小型風力市場を揺るがす事態であり、実質的にはFIT20円で新たに事業認定計画、申請をする業者はいないでしょう。
既に事業認定を取得している事業者は「希少なFIT55円FITの権利」と言って、最後の売り切りセールを行っています。
では小型風力投資は良い投資なのでしょうか、良くないのでしょうか。結論としては「悪くはないかもしれないが、要注意」という状況です。
論点としては、「風況(風速・風向)をどこまで想定できるか」の1点に尽きます。
太陽光発電の場合は、概ねNEDOデータを上回る日射量を得られますし、日が照っていることも見れば分かりますし、南に向けて20°くらい傾ければ勝手に発電します。
風力発電の基本的な事業収支の考え方は以下になります。
大型風車の場合は、必ず必要となる環境アセスメントに加え、数年かけて実地の風況測定などを行います。
しかし、小形風力は実地風況測量をしないのが一般的です。
風況の測定は、NEDOの公表データ(高さ30m地点)やMascot(マスコット)、3tier(スリーティア)などの風況算定ソフトを使用して、想定の平均風速を出します。
その想定平均風速(例:6.5m/sなど)と、風車メーカーが出している基準(例:6.5m/s⇒ 発電量99,000kWh/年⇒ 売上5,445千円/年など)で事業収支を作成します。
大体、平均6.0m/s以上風が吹いていれば事業採算は合うようになっています。
以上のように風速・発電量を想定しますが、
・本当に想定通りの平均風速が吹くか
・吹いていても、その風を真正面から受けられるか
が大きな影響を与えることは行くまでもありません。
なお、事実として、現在まで導入された小型風力機の平均設備利用率(実際の発電量/定格発電容量*365d*24h)は約9%に留まっています。
FIT導入時は約16%の設備利用率を想定していましたので、いかに想定より発電していないことが分かります。
設備利用率が30%を超える優秀な発電所もあるようです。
平均9%、優秀なもので30%超。ということは最悪のケースも想定しながらの投資が必要になります。
結論としては、難易度の高い投資ということになってしますが、日本で小形風力発電所設置できる場所も限られていますし、お金に余裕があれば記念に投資してみたらいかがでしょう。
バイオマス発電の行方【再エネ】第12稿
こんにちは。
本日は再生可能エネルギーの中の1つ、バイオマス発電についてです。
以前書いたように、太陽光の後はバイオマスだ!と一部の方が熱を入れて動いているようです。
経産省としてもバイオマス発電を増やしたい意向がありますので、再生可能エネルギーブーム最後の儲けどころ!と思っているのでしょう。
不動産・建設業界でいえば、シノケングループは昨年、バイオマス発電所の企画運営をする新電力開発株式会社へ出資をしています。
https://www.shinoken.co.jp/press/media/view/271
また、最近ですと、フージャースグループが新株発行(ライツオファリング)を利用して、バイオマス発電所への投資を発表しました。約18憶円になります。
http://pdf.irpocket.com/C3284/u3wX/qycc/DbgB.pdf
果たしてバイオマス発電所への投資は儲かる事業への投資と言えるのか。という点は投資家にとっても、非常に気になるところだと思います。
色々な情報をまとめると、「燃料供給の不安定さを、どう解消するか」ということに尽きます。
バイオマス発電といっても色々ありますが、ここで特記するバイオマス発電所は、
・国内産木質バイオマス(木材をペレットに生成して燃やす)
・パーム油バイオマス(東南アジアから輸入する)
の二つとさせていただきます。
理由は、この二つが良く話題になるからです。なお、上記の2事例はいずれもパーム油です。
燃料を燃やしてタービンを回すわけですので、火力発電の燃料の違いと思っていただいて問題ありません。
ざっくり今までの業界の経緯を書きますと、
①国内杉が伐採期を訪れているので伐採して燃やそう。
②経産省の申請を終えた発電業者が各地の森林組合に木材供給を依頼。
③各地の森林組合が、発電業者の足元を見て高単価で提示。
④思っていたより高いから、海外(東南アジア)から燃料を調達しよう。
⑤調達するなら、パーム油がいいよね。
ということで、現在は海外からのパーム油での計画が非常に多いです。
各地の森林組合が安くやってくれればいいじゃないか。もしくは自分たちで山を買って伐採すればいいじゃないか。という議論がありますが、伐採というのは簡単な作業ではありません。一歩間違えれば、けが人が出る。酷いときは命にかかわる事故が起きる。なので、簡単には話が進まないわけです。
なので、人件費の安い国でパーム油を大量に作り、輸入しよう。そうゆうわけです。
ここで出てくる課題は、
①為替リスク
②継続供給のリスク
為替リスクは言葉のとおりです。発電期間は20年で計画します。20年前の日本円とドルの関係を見ればわかる通り、何倍にも変化します。
継続供給リスクは、20年間パーム油を生産する人がいなくなる可能性もあります。日本でも、20年前と今では農業従事者数も大きく変化していますね。
このリスクを、燃料供給者(商社など)が保証するということもあり得ますが、相場としては5年保証がほとんどのようです。
よって、5年後以降15年間のリスクが残る事業となります。
また、太陽光と異なり、燃料供給が滞った際に、従業員給与は発生するという恐ろしい状況もあり得ます。
現状としては、そのような壁にぶつかっているバイオマス発電事業ですが、現状打破に向けて各社動いていることは間違いありませんので、今後に期待です。
デベロッパーの事業多角化⑦【第11稿】
こんにちは。
「再生可能エネルギー」の続きとして、事業会社(仲介会社やコンサルではなく)におけるそれぞれの発電施設毎の事業環境や特徴を書いていこうかと思います。
①太陽光発電事業
前回書いたように、「売電価格の下落」が特徴的な発電方法です。
これから先、事業投資するとなると、⑴新規案件の事業化、もしくは⑵中古案件への投資になります。
現在の太陽光発電事業の中古案件への投資表面利回りは低いものでも、概ね10~15%ほどで取引されているものが相場になっています。
また、20年間で収益は得られる訳ですが、
・パネル老朽化による廃棄・取り換え問題
・固定買い取り期間終了後の売電問題
を見据える必要があります。
この点については、パネルの老朽化時期に合わせ、経産省による産廃のガイドライン・補助金などの整備、電力取引の自由化に伴った電力取引が確立されてくるものと考えているのが多くの市場の見方です。
「新規案件の事業化」については売電価格が下がっていますが、結論から書きますと、「売電価格が半額になってしまったが、施工費もその分下がっているので、事業としては成り立つ」というのがマーケットです。
ただし、造成費用が多額にかからない案件に限ります。
私の想定では、18円/kWになっても事業化は可能だと考えています。
しかし、太陽光発電事業の新規案件事業化においては、すんなり事業化できる案件は既に残っていません。今から事業化するとなると、大体の案件で下記の3つのうちいずれかの障壁がある場合が多いのが現実です。
⑴ 経産省の事業認定は取得済みだが、土地の一部の所有者が賛同していない案件が多すぎる。
⑵ 発電所が急増したため、送電線・変電所の増築が必要になり、増築に伴う負担金が高すぎる上に、負担金の入金後3~5年待たされる(特に九州)。
⑶ 雪リスクや、降灰リスクなど、定期的に発電効率を低下させる自然現象が起きるエリア。
以上の障壁をコツコツぐいぐい乗り越えて事業化していく必要があると考えられます。
②風力発電事業
陸上の場合は、ほぼ海岸線に近い地域での事業になります。
20kW以上の風力発電の固定買い取り価格が22円に対し、20kW未満(通称「小形風力)の発電機ですと売電価格が55円に設定されています。
また、19.8kWの発電機ですと土地込みで3,000万円~4,000万円の投資になるので、個人投資家向け小形風力市場は大変盛り上がっています。
しかし、当たり前ですが、「風が吹かないと発電しない」ので注意が必要です。大型風力への投資の場合では3~5年の風況試験を要して事業化しますが、小形風力投資の場合大した風況試験・調査をせずに投資するケースがあり、結果として期待していた発電量が見込めず、今後大きな問題となっていくことでしょう。
なお、大型風力事業も、「風が予定より吹かないため、収益が見込めない」という話がチラホラ聞こえてきますので、要注意です。
③水力発電事業
私も好きな映画「黒部の太陽」でも舞台になった黒部ダムなどが、水力発電です。
近年では、田んぼ用の用水路などを利用した「小水力発電」が取り上げられていますが、田んぼ用の用水路などは自治体が管理しているため、自治体主導型の小水力発電が出てきています。
管理の問題があるので、現在のところ大きな話題はありません。
④地熱発電事業
地熱発電を簡単に説明すると、地下5km~15kmのマグマの熱を利用して、蒸気を噴射し、その蒸気によってタービンを回す発電方法です。
それ故に、調査期間が他の発電方法に対して非常に長いです。
実際は、経済産業省などと密接に関わりながら、調査費用などを想定し、案件に携わることとなります。中々不動産会社が関われる案件ではありません。
不動産会社ではありませんが、金融業のオリックスが八丈島の地熱発電所の運営会社になりました。
(参考:http://yts.jp/article/d-415/)
⑤バイオマス発電事業
バイオマス発電を簡単に説明すると、「ゴミや、不要になった籾殻、豚や牛の糞を発行させたメタンガスなどを燃料に、燃やすことでタービンを回す発電方法」です。
「バイオマス」というと少々難しい話に感じますが、火力発電がオイル・ガスを燃やしていることに対して、燃やすものが変わっただけです。
一般的には、「木質チップ」と呼ばれる、木をチップ状にしたものや、パームオイルなど東南アジアで大量生産できる自然燃料が使われるケースが多いです。
変わりものとして、牧場の横で糞から出るメタンガスや、芋焼酎工場で出る芋の残さなどがあります。
「太陽光バブルの次はバイオマスだ!!」と、不動産業者界隈は騒いでいるようですが、計画案件を事業化するためには、
⑴ 工場運営ノウハウ
⑵ 燃料調達の確実性
の2点が障壁となりますので、太陽光発電に比べると格段に難易度があがるため、簡単には事業化できないでしょう。
なお、経産省への申請は溢れているようですが、時期に計画倒れ案件は消滅させられると思われます。
長くなりましたが、以上が再生可能エネルギー事業の簡単な状況です。
まだいろいろ書きたいのですが、今回はこのあたりで終わります。
デベロッパーの事業多角化⑥【第10稿】
こんにちは。
今回は「再生可能エネルギー」について書こうかと思います。
とっつきやすい太陽光発電から書いていこうかと思いますが、「太陽光」というと、いろいろな印象を持っている方がいます。
・太陽光バブルで儲けたブローカー?なんか怪しくない?
・屋根に乗せるやつでしょ、投資しても元取れないよ。
・最近、売電の価格下がってきたから、もう利益出ないでしょ。
などなどです。
2012年にFIT法(再生可能エネルギーにて発電した電力の固定価格買い取り制度)が施行され、数年の内に太陽光発電所が急増したことが情報交錯の原因だと思いますが、まずは簡単に整理できればと思います。
まず、再生可能エネルギーは下記の5つに分解できます。
⑵風力発電
⑶地熱発電
⑷水力発電
⑸バイオマス発電
FIT法では、5つの発電方法毎に、それぞれの固定買い取り価格が設定されています。
その中でも、太陽光発電の固定買い取り価格は2012年には42円/kWに設定されました。2017年現在の買い取り価格は21円/kWと比較しますと、当時の高単価ぶりが分かると思います。なお、ここで書くのは、屋根への設置ではなく、野立て太陽光発電所のことを指しています。
FIT法の導入および固定買い取り価格設定に関しては、ソフトバンクの孫氏の誘導があったともいわれ、一部では「SOFTBAN肥やしの法整備だ」とも言われていたのも有名な話です。なお、ソフトバンク系列のSBエナジーでは、数多くの太陽光発電所を手掛けています。
引用:SBエナジー http://www.sbenergy.co.jp/ja/business/list/
太陽光発電所が急増した理由には、以上のように「買い取り価格が破格だったから」という理由がありますが、もう一つ取り上げるトピックがあります。
それは、「誰でも売電申請ができてしまったから」、というFIT法の不備があったという話です。
経済産業省および電力会社への事業認定の申請をする場合、現在でこそ当該する土地の「所有者」もしくは「所有者になり得る者」、「所有者から許可を得ている者」しか申請が出来ませんが、以前は「誰でも申請できた」時代がありました。
つまり、土地所有者からしてみれば、知らないうちに知らない人が自分の土地で、発電所の計画の申請を出している訳ですから大変迷惑な話です。
勝手に売電の許可を得てから土地の所有者に土地の売買交渉をしに行き、後は発電事業者に土地を売る。そんな手荒なブローカーが儲かってしまい、太陽光ドリームが出来てしまった――――。
2017年4月にFIT法が改正しましたが、これは「土地の所有者が容認していないのに設備認定を出してしまった案件を排除するため」に施行されたものです。
やっと、まともな事業環境が整ってきた一方、太陽光発電施設は急増。さてはて、どのようなスタンスで再生可能エネルギー事業に取り組んでいこうか。再生可能エネルギー業界はそんなタイミングにあると思っています。
次回は、その再生可能エネルギー業界の事業環境について、もう少し書いていこうかと思います。
デベロッパーの事業多角化⑤【第9稿】
こんにちは。
先日、久々に池袋周辺を歩く機会がありました。
豊島区役所の新庁舎を通りがかったのですが、とても素敵な建物でした。
豊島区役所といえば、新庁舎移転に伴う旧庁舎跡地の活用についても話題になりました。
公募提案型での事業選定となりましたが、結果的には東京建物・サンケイビル・鹿島建設のJVで開発をすることが決まり、すでに着工しています。
さて、本日は豊島区の新庁舎開発の際にも対象になった「再開発事業」について書こうと思います。
再開発事業は、「複数の所有権利者がいる土地において、1つの開発をする」事業です。
多数の意見、多数の権利が複雑に交錯するので、土地を1つの業者で買収して開発する場合と比較すると、非常に難易度の高い事業になります。
多数の関係者と事業を進めるための「担当者の調整力、人間力」は勿論のこと、企業の「ブランド、資金力、信用力」も影響しますので、実際のところ大手デベロッパーの方が案件も取り込みやすいのが実態です。名も知られていない不動産業者ですと、「いつ潰れるかわからない」「最後まで真摯に取り組むのか」などの不安要素も大いに関係してくるからです。
また、再開発は「都市の合理化と安全性を高めるために行われるもの」で、建築学や都市計画系の学問でも取り上げられ、建築を志す学生にとっても魅力的な分野だと認識しています。
日本で再開発事業の代表格といえば、やはり株式会社森ビルが行った六本木ヒルズ開発でしょう。
現在となってはビジネスや観光の中心地となったわけですが、元々木造建築の密集地だったエリアを森稔氏が人生をかけてまとめ上げ、作り上げた都市です。森稔氏の著書はいくつも出ておりますので、読むと心が熱くなるものがあります。
そんな森ビルには、毎年数多くの新卒就活生が訪れているようです。かつて私も、森ビルへのあこがれを持った一人の就活生だったことを思い出します。
住友不動産や野村不動産などの資金が潤滑な総合不動産デベロッパーは、再開発事業の一部となる土地、いわゆる「種地」を買って、再開発事業に参入していく得意技を持っていたりします。
そんな再開発事業ですが、独立系の元マンションデベロッパーも参入が強まっている傾向があります。
キーワードとしては、「地方創生」や「災害復興」など、都心部以外のエリアでの再開発事業への参入傾向が強まっています。
いくら難しい話をしても、住宅関連の再開発事業でいえば、「住宅部分を分譲して売り上げを上げる」「賃貸で収益を上げる」くらいしか最終的なキャッシュポイントがないわけですから、人口が10万人~15万人くらいの行政区での住宅分譲事業は敬遠されがちです。ですが、その規模の再開発事業に、マンション分譲のノウハウを持った準大手ンデベロッパーが参入していくケースが増えている状況です。
昨今、建設費用の上昇などでマンション開発の事業環境が厳しくなっていますので、地方創生や災害復興という名目で行政から補助金や役所が床を持つことによって実質的に建設コストを下げて事業を進めることができる再開発事業は見方によっては非常に魅力的な案件になります。
売上が数百億円の企業の決算にとって、再開発事業への参入は大きなインパクトがありますし、今後も再開発は日本各地で企画されていくものです。
簡単には言えませんが見方によっては、大手財閥企業以外にも再開発参入のチャンスが広がっているということですから、投資家の方、就活中の方も各企業の再開発事業の事例を見てみると面白いと思います。
以上、簡単ではありますが、マンションデベロッパーの再開発事業への展開についてでした。
デベロッパーの事業多角化④【第8稿】
こんにちは。
取引でバタバタしたため、前稿から時間が空いてしまいました。
本日はREIT(Real estate investment trast)について書こうと思います。
すこし難しい話題なので、あっさり書けなかったのも時間が空いた理由でした。
今回は「なぜ不動産デベロッパーがREITを利用するのか」という点に絞って書こうと思います。
リーマン後、デベロッパー各社は、自社でREITの資産を管理するアセットマネジメント会社を持ち、自社管理のREITを上場させている、もしくは上場をさせようと動いています。
一般社団法人投資信託協会さんによると、REITとは「多くの投資家から集めた資金で、オフィスビルや商業施設、マンションなど複数の不動産などを購入し、その賃貸収入や売買益を投資家に分配する商品です。不動産に投資を行いますが、法律上、投資信託の仲間です。 」とのことです。
投資や不動産に馴染みがない方は、マッタクワケガワカラナイものになると思います。
例えば、「A不動産REIT投資法人」という法人をREIT市場に上場させると、「投資家」が「A不動産REIT投資法人」へ「匿名出資者」という形で投資し、「A不動産REIT投資法人」は出資額に応じて分配金を支払う。という形で資金は動きます。
上場させて資金を集めるので「REIT上場」と言いますが、上場させずに自力で資金を集めるのを「私募REIT」と言います。
では、「なぜ、デベロッパーはREITを利用するのか」ですが、それは「開発もしくは転売の出口をコントロールできるから」です。
マンションデベロッパーは土地を買って開発したマンションを、「分譲」もしくは「一棟売り」することで、利益を出していました。
「分譲」の場合、優秀な営業マンを雇い、時間をかけ、広告費をかけ、もしかすると売り切れないかもしれない。というリスクと隣り合わせで事業を行います。
「一棟売り」の場合、10~50億円の物件を買える人はとても限られます。
つまり、不動産開発は良いものを作っても、売り払うことがとても難しいのです。
それを解消するため「開発したら、REITで投資家から資金集めて、REITに組み込むことで利益を確定する」という策がとられています。
先の例でいうと、
A不動産:マンションを開発
という役割で進み、開発が完成したら、「A不動産REIT投資法人」へ組み込むことで、「A不動産」は利益を得る。そして、組み込んだ後は「A不動産の子会社のA不動産アセットマネジメント」で物件管理することで、管理手数料を投資家からいただく。という流れになります。
実際には複雑な法律と資金の流れがあるので、ここまで簡易的に書いていいものか悩みましたが、「なぜ、デベロッパーはREITを利用するのか」という概略は以上になります。
個人的には、REITのシステムを利用することで、投資家マネーが不動産開発に流れ、不動産開発の活性化に繋がっているという点で、本当に優れたシステムだと思いました。
原点は、アメリカの投資銀行でしょうから、さすが、という感想を持っています。
では、本日はここで終わります