不動産業界を取り巻く環境【第2稿】
こんにちは。
前回の記事で、
「住宅系デベロッパー業界は一生懸命土地を探して開発して、一生懸命売っているだけではダメな時代になった」と書きました。
戦後~1990年初めまでは、いわゆるバブルでしたので、
不動産を買って、転売をするだけで利益が出た時代もありました。
その間に資産を構築した財閥の不動産部門が現在の財閥系不動産会社ですね。
その話は省きます。
1990年以降、マンション専業デベロッパー(マンデベ)が多く、各社順調に売り上げ・利益を出していました。
大京出身の人や、コスモス出身者などが次々とマンデベを作っていきました。
ビジネスモデルが単純明解で、大きなミスをしなければ儲かったからです。
ビジネスモデルは、「10億円で土地を買い、10億円でマンションを建て、30億円で売る。」といったところです。
もちろん、何十億円もの借入を起こす必要があり、経営者は連帯保証に入ったりしますので、資金回収までの経営者の精神的ストレスは想像に難しくありません。本当に尊敬します。
当事業で重要なことは、
⑴良い土地を安く仕入れて、良い商品を企画する。
⑵気合と根性と人間味で、より高く(適正な価格で)販売する。
とにかく、この2点が強ければ儲かる業界だったので、
「大京の、買うまでお客さんを帰らせない、鬼のような販売力(今は変わりましたけど)」
「リクルート系の販売目標達成への執念」を引き継いだ会社が目立って活躍していました。
社内では、「土地買収の仕入れマンvs販売の営業マン、どちらが偉いか。」という話題が勃発するくらい、その2点が重要です。
そうして、優秀な仕入れマンと、営業マンを抱えて、マンションデベロッパーは各社大きくなっていきました。
2008年に業界を襲う大事件が起きました。
ご存知、リーマンショックです。
金融業界と密接に関係のある、マンションデベロッパーは当時たくさん潰れました。
流れは下記のような感じです。
⑴会社でいくつもプロジェクトを同時進行しているので、借り入れは何百憶にも及んでいた。(仮に10プロジェクトで500億円とします。)
⑵500億円は、開発予定の土地を担保に入れていますが、経済が傾いたため、
300億円の資産価値として考えていた土地⇒ 200億円の価値に下落
700億円の売上予定⇒ 売れるかわからない状況
⑶上記のような状況に追い込まれ、販売がうまく進まないと会社は人件費が払えなくなります。無論、人件費支払いを優先するので、銀行への返済が遅れます。銀行は「それは約束が違うから、3か月後までに全額返済しなさい。」とか言い始めます。「貸しはがし」というやつですね。
人件費が足りないからと言って、銀行は追加融資はしません。時間が経てば建築費の支払い時期も到来します。遂に、マンションデベロッパーは倒産します。
実際には、銀行の「貸しはがし」は複雑に物事が交錯しますが、ここでは省きます。以上の景気の波にも耐え、今も生き残っているマンションデベロッパーは、財務的にも、事業構造的にも大きく変革をし、より強い会社へと変わっていくタイミングとなりました。