リーマンショックへ経て変わった不動産業界【第3稿】
こんにちは。
今回は、2008年のリーマンショックを機に、不動産業界がどのように変わっていったのかテーマに書きたいと思います。
リーマンショックとは何か、を簡単に書くと、
「リーマンブラザーズというアメリカの投資銀行が、米サラリーマンに住宅ローンを無理にお金を貸しすぎて、回収できなくなって破綻した。その影響でアメリカの経済が止まり、日本にも影響がでた」というものです。
株価は下がり、土地の価値も下がりました。
「土地の価値」は買いたい人が多ければ高くなり、少なければ下がります。経済状態が悪いと、みんな警戒して積極的にお金を使わなくなるので、買いたい人は減ります。
不動産開発真っただ中のマンション専業デベロッパー(マンデベ)は、工事代、銀行借入、従業員給料は払わなければいけない。しかし、売れない。という状況になるわけですから、財閥系不動産会社を除くデベロッパーの多くは破綻しました。ですので、今残っているデベロッパーは生き残りです。
無論、リーマンショックの件では、不動産業界のみならず、どの業界も打撃を受けました。が、マンデベについて取り上げて書く理由があります。
既に書いている通り、マンデベの業態はとにかく「土地を買って、マンション作って、売る」というビジネスモデルです。マンション建設は、土地を買ってから約3年はかかります。つまり、3年間売り上げが入って来ません。景気が悪くなったから、途中で早く売って現金回収する、ということができません。建設を止めることも当然できません。このビジネスモデルの弱点が如実に表れてしまったのがリーマンショックです。
生き残りマンデベは、次の経済ショックに備え、下記のような経営方針を立てました。
①現金預金を多く残しておくこと
②財務バランスを良くすること
③事業を多角化し、リスク分散すること
3点とも割と当たり前なことなんですが、特に③については、マンション開発のみで育ってきた企業にとっては大きな変化でした。
「多角化」はおおむね下記の通りです。
・木造一戸建て開発事業(建設開始から5か月後には売れるので資金回収が早い)
・木造アパート開発事業(同じく、マンションに対して建設期間が短い)
・建設済の収益物件の保有・売買(建設期間がないので、すぐ売れるし、持っていればお金が入ってくる)
・リノベーション事業(既存建築のリノベーションなので、工事期間、費用も小さいがコツコツと。利益も少ないがリスクも少ない)
・不動産ファンドを設立、運営事業(少し複雑なので詳細はまた今度)
・PFI事業(行政との共同事業なので、景気に関係なく売り上げが保証される)
ここで言いたいのは、「マンション専業デベロッパー」は2008年を機にほぼ存在しなくなり、生き残りの「元マンション専業デベロッパー」は「総合デベロッパー」として生きていくことを余儀なくされた、ということです。
各々の事業について、現在はどのようになっているのか、今後一個ずつ書いていければいいと思っています。
長くなりすぎるので、本稿はここまで。