バイオマス発電の行方【再エネ】第12稿
こんにちは。
本日は再生可能エネルギーの中の1つ、バイオマス発電についてです。
以前書いたように、太陽光の後はバイオマスだ!と一部の方が熱を入れて動いているようです。
経産省としてもバイオマス発電を増やしたい意向がありますので、再生可能エネルギーブーム最後の儲けどころ!と思っているのでしょう。
不動産・建設業界でいえば、シノケングループは昨年、バイオマス発電所の企画運営をする新電力開発株式会社へ出資をしています。
https://www.shinoken.co.jp/press/media/view/271
また、最近ですと、フージャースグループが新株発行(ライツオファリング)を利用して、バイオマス発電所への投資を発表しました。約18憶円になります。
http://pdf.irpocket.com/C3284/u3wX/qycc/DbgB.pdf
果たしてバイオマス発電所への投資は儲かる事業への投資と言えるのか。という点は投資家にとっても、非常に気になるところだと思います。
色々な情報をまとめると、「燃料供給の不安定さを、どう解消するか」ということに尽きます。
バイオマス発電といっても色々ありますが、ここで特記するバイオマス発電所は、
・国内産木質バイオマス(木材をペレットに生成して燃やす)
・パーム油バイオマス(東南アジアから輸入する)
の二つとさせていただきます。
理由は、この二つが良く話題になるからです。なお、上記の2事例はいずれもパーム油です。
燃料を燃やしてタービンを回すわけですので、火力発電の燃料の違いと思っていただいて問題ありません。
ざっくり今までの業界の経緯を書きますと、
①国内杉が伐採期を訪れているので伐採して燃やそう。
②経産省の申請を終えた発電業者が各地の森林組合に木材供給を依頼。
③各地の森林組合が、発電業者の足元を見て高単価で提示。
④思っていたより高いから、海外(東南アジア)から燃料を調達しよう。
⑤調達するなら、パーム油がいいよね。
ということで、現在は海外からのパーム油での計画が非常に多いです。
各地の森林組合が安くやってくれればいいじゃないか。もしくは自分たちで山を買って伐採すればいいじゃないか。という議論がありますが、伐採というのは簡単な作業ではありません。一歩間違えれば、けが人が出る。酷いときは命にかかわる事故が起きる。なので、簡単には話が進まないわけです。
なので、人件費の安い国でパーム油を大量に作り、輸入しよう。そうゆうわけです。
ここで出てくる課題は、
①為替リスク
②継続供給のリスク
為替リスクは言葉のとおりです。発電期間は20年で計画します。20年前の日本円とドルの関係を見ればわかる通り、何倍にも変化します。
継続供給リスクは、20年間パーム油を生産する人がいなくなる可能性もあります。日本でも、20年前と今では農業従事者数も大きく変化していますね。
このリスクを、燃料供給者(商社など)が保証するということもあり得ますが、相場としては5年保証がほとんどのようです。
よって、5年後以降15年間のリスクが残る事業となります。
また、太陽光と異なり、燃料供給が滞った際に、従業員給与は発生するという恐ろしい状況もあり得ます。
現状としては、そのような壁にぶつかっているバイオマス発電事業ですが、現状打破に向けて各社動いていることは間違いありませんので、今後に期待です。