元上場企業不動産開発マンのブログ

不動産業界 特に開発系のことについて、自分へのメモ、就活、投資に参考になればと思い、思うが儘に綴ります。

小形風力投資の行方【再エネ】第13稿

こんにちは。

 

忙しい年度末(3月末)が過ぎ去り、あっという間にGWも終わり、6月となってしまいました。

 

本稿では、小形風力投資について書こうと思います。

以前にも簡単に書いたことがありましたが、小形風力発電機は発電容量が20kW未満のものになります。イメージとしては、高さ20m、ブレード(羽)が半径7mくらいのものを想像していただければと思います。

大型のものに比べれば小さいですが、ビュンビュン回っているのを近くで見るとすごい迫力です。

 

以前も書いていますが、小形風力発電経産省が定める固定調達価格(以下FIT)は2017年度までは55円/kWでした。しかし、2018年度の申請分に関しては20円/kWに下落することが確定しました。

このことは小型風力市場を揺るがす事態であり、実質的にはFIT20円で新たに事業認定計画、申請をする業者はいないでしょう。 

既に事業認定を取得している事業者は「希少なFIT55円FITの権利」と言って、最後の売り切りセールを行っています。

 

では小型風力投資は良い投資なのでしょうか、良くないのでしょうか。結論としては「悪くはないかもしれないが、要注意」という状況です。

 

論点としては、「風況(風速・風向)をどこまで想定できるか」の1点に尽きます。

 

太陽光発電の場合は、概ねNEDOデータを上回る日射量を得られますし、日が照っていることも見れば分かりますし、南に向けて20°くらい傾ければ勝手に発電します。 

 

風力発電の基本的な事業収支の考え方は以下になります。

大型風車の場合は、必ず必要となる環境アセスメントに加え、数年かけて実地の風況測定などを行います。

しかし、小形風力は実地風況測量をしないのが一般的です。

風況の測定は、NEDOの公表データ(高さ30m地点)やMascot(マスコット)、3tier(スリーティア)などの風況算定ソフトを使用して、想定の平均風速を出します。

その想定平均風速(例:6.5m/sなど)と、風車メーカーが出している基準(例:6.5m/s⇒ 発電量99,000kWh/年⇒ 売上5,445千円/年など)で事業収支を作成します。

大体、平均6.0m/s以上風が吹いていれば事業採算は合うようになっています。

 

以上のように風速・発電量を想定しますが、

・本当に想定通りの平均風速が吹くか

・吹いていても、その風を真正面から受けられるか

  が大きな影響を与えることは行くまでもありません。

 

なお、事実として、現在まで導入された小型風力機の平均設備利用率(実際の発電量/定格発電容量*365d*24h)は約9%に留まっています。

FIT導入時は約16%の設備利用率を想定していましたので、いかに想定より発電していないことが分かります。

設備利用率が30%を超える優秀な発電所もあるようです。

平均9%、優秀なもので30%超。ということは最悪のケースも想定しながらの投資が必要になります。 

 

 

結論としては、難易度の高い投資ということになってしますが、日本で小形風力発電所設置できる場所も限られていますし、お金に余裕があれば記念に投資してみたらいかがでしょう。