元上場企業不動産開発マンのブログ

不動産業界 特に開発系のことについて、自分へのメモ、就活、投資に参考になればと思い、思うが儘に綴ります。

デベロッパーの事業多角化⑤【第9稿】

こんにちは。

 

先日、久々に池袋周辺を歩く機会がありました。

豊島区役所の新庁舎を通りがかったのですが、とても素敵な建物でした。

豊島区役所といえば、新庁舎移転に伴う旧庁舎跡地の活用についても話題になりました。

公募提案型での事業選定となりましたが、結果的には東京建物・サンケイビル鹿島建設JVで開発をすることが決まり、すでに着工しています。

 

さて、本日は豊島区の新庁舎開発の際にも対象になった「再開発事業」について書こうと思います。

 

再開発事業は、「複数の所有権利者がいる土地において、1つの開発をする」事業です。

多数の意見、多数の権利が複雑に交錯するので、土地を1つの業者で買収して開発する場合と比較すると、非常に難易度の高い事業になります。

多数の関係者と事業を進めるための「担当者の調整力、人間力」は勿論のこと、企業の「ブランド、資金力、信用力」も影響しますので、実際のところ大手デベロッパーの方が案件も取り込みやすいのが実態です。名も知られていない不動産業者ですと、「いつ潰れるかわからない」「最後まで真摯に取り組むのか」などの不安要素も大いに関係してくるからです。

 

また、再開発は「都市の合理化と安全性を高めるために行われるもの」で、建築学や都市計画系の学問でも取り上げられ、建築を志す学生にとっても魅力的な分野だと認識しています。

日本で再開発事業の代表格といえば、やはり株式会社森ビルが行った六本木ヒルズ開発でしょう。

現在となってはビジネスや観光の中心地となったわけですが、元々木造建築の密集地だったエリアを森稔氏が人生をかけてまとめ上げ、作り上げた都市です。森稔氏の著書はいくつも出ておりますので、読むと心が熱くなるものがあります。

そんな森ビルには、毎年数多くの新卒就活生が訪れているようです。かつて私も、森ビルへのあこがれを持った一人の就活生だったことを思い出します。

 

住友不動産野村不動産などの資金が潤滑な総合不動産デベロッパーは、再開発事業の一部となる土地、いわゆる「種地」を買って、再開発事業に参入していく得意技を持っていたりします。

 

 

そんな再開発事業ですが、独立系の元マンションデベロッパーも参入が強まっている傾向があります。

キーワードとしては、「地方創生」や「災害復興」など、都心部以外のエリアでの再開発事業への参入傾向が強まっています。

 

いくら難しい話をしても、住宅関連の再開発事業でいえば、「住宅部分を分譲して売り上げを上げる」「賃貸で収益を上げる」くらいしか最終的なキャッシュポイントがないわけですから、人口が10万人~15万人くらいの行政区での住宅分譲事業は敬遠されがちです。ですが、その規模の再開発事業に、マンション分譲のノウハウを持った準大手ンデベロッパーが参入していくケースが増えている状況です。

 

昨今、建設費用の上昇などでマンション開発の事業環境が厳しくなっていますので、地方創生や災害復興という名目で行政から補助金や役所が床を持つことによって実質的に建設コストを下げて事業を進めることができる再開発事業は見方によっては非常に魅力的な案件になります。

 

売上が数百億円の企業の決算にとって、再開発事業への参入は大きなインパクトがありますし、今後も再開発は日本各地で企画されていくものです。

簡単には言えませんが見方によっては、大手財閥企業以外にも再開発参入のチャンスが広がっているということですから、投資家の方、就活中の方も各企業の再開発事業の事例を見てみると面白いと思います。

 

以上、簡単ではありますが、マンションデベロッパーの再開発事業への展開についてでした。